牛窓の浦に打ち寄せる、引いては寄せる波のように、ほのかに恋心の思いを寄せた愛しいあなたに、逢わないで出帆する、もう一度会いたいものだ。その昔、歌聖、柿本人麻呂が牛窓の海を見つめ恋歌を詠んだという。
この歌の作者は、万葉歌人の中でも、とりわけ名の知れた柿本人麻呂であってほしいという牛窓人の願望に発したものであろう。詠み人不詳というのが定説となっている。